犬日記

役に立つことは書かれていない日記

蝿のいる光景

スーパーに買い物に行くと、大きなハエの絵が入ったトレーナーを来た青年がいた。
よく北欧調の食器なんかに描かれている、割りとリアルめでオシャレっぽい感じがする画風のものだ。
そのハエが背中の半分以上を占拠しているものだから、変わったトレーナーだなあと私はしばらく彼と彼が身に付けているモノを観察してみた。
カーキ色の洒落た感じのトレーナーに洒落たデザインのハエがプリントされている…なんとも不思議な雰囲気。



そんな不思議なトレーナーの青年の姿をずっと見ているうちに、どうしてあのトレーナーを彼が購入しようと思ったのかが私は気になり考えてみた。
無類のハエ好きなのだろうか?
いや、そんな人はあまりいないような気がするし、むしろそんなにハエそのものに愛着があるならリアルなハエプリントにするんじゃなかろうか…?
とするなら、特別ハエが好きではないにしろ、たまたまトレーナーのハエの感じが気に入ったのかもしれない(こ洒落たデザインだし)
そう、ハエだから云々と深く考えず、全体的なデザインで選んだという方が可能性は高いだろう。



「うん、そうだそうだ」



と納得し、私はまた青年を見てみた。
そこには、本物ならば皆眉をしかめふり掃うであろうモノが、なんの違和感もなく溶け込んでいる不思議な光景が広がっていた。