犬日記

役に立つことは書かれていない日記

地球の裏からお久しぶりです。

またしても訳あって日本の裏側、チリはサンティアゴにいます。
6月中旬に日本を発ってから早ひと月近く、チリという国は距離も文化も日本とはあまりにも遠く、今だ毎日カルチャーショックの連続です。
初日はオレンジジュースとクッキーがかつて体験した事ないほど激甘なことに、一昨日はケンタッキーフライドチキンが13時まで開店しない事に(うちの田舎ですら11時には開店するのに…)昨日はプリングスの食感がドンタコスみたいなパリパリ加減に、がびょーんとなる日々。
面白いかどうかはさておき退屈だけはしません。
どこの国に行っても日本とは違う文化があるわけで、新しい発見に驚かされることにはもう慣れてますが、それにしてもグローバル化が叫ばれて久しい昨今の現代において先進国の仲間入りをしようという国が、こんなにものんびりしているというかルーズというかテキトーというか、ちょっと!そこでくっちゃべってるお兄ちゃんとお姉ちゃん、レジ!レジに長い行列が出来てるでしょ、新しいレーン開けないとっ!とヤキモキしたり、現地の人に一任している夫の人の明日の仕事の予定が前日の寝る前(場合によっては当日の朝食時まで)わからないとか、心配になってしつこく聞くと「まだちょっとわかんないんですよ」と微笑みながらもその瞳の奥で『何をそんなに心配シテル、何とかならなくナタラなんトカするヨ、ニホン人野暮ネ』といった空気が渦巻いているとか、江戸っ子的にはムキー!と発狂しそうなほど、チリでは雄大に時が流れています。
そのくせ昼食は13時から15時、夕食は20時から盛り上がっている間までと、どういうわけかここに関しては厳密にルールが決定されているみたいで、首都といえど、そしてファストフード店といえどお店はその時間にならないと開いておらず、連日の盛り上がりがたたって寝坊でホテルの朝食を逃した日には、お昼まで兵糧攻めにあいます。
そうなるとドンタコス感満載のプリングスか、飲むと踊らずにはいられない激甘ジュースや菓子で凌ぐ他なくなります。



食事の内容も妙な薄味というか素材を生かしたというか素材の完全勝利みたいな味付けで「肉肉魚肉肉肉米」なローテーション(そして野菜はフルーツぐらい)のため、味の変化を感じられないというのが正直な感想です。
決して美味しくないということはありませんが、多様な味付けのものを食べ慣れているハポン国の人としては、グルタミン酸とイノシシ酸が味わいたくてならない日々です。



そんな日本人的には不摂生といっても過言ではない生活ぶりに、夫の人はあっという間に強力な風邪にやられ先週からずっと寝込んでいます。
一方私はというと、子供の頃の不衛生極まりない野性児生活のお陰か、若かりし日頃から長らく積んだ自堕落生活の研鑽のお陰か、相変わらず元気に過ごしている所存でございます。
日本にいる時は毎日毎日


「そんなジャンクフードやお菓子ばっかり食べちゃだめでしょ」


とか


「早く寝なさい、早く起きなさい、毎日お風呂に入りなさい」


とか


「好き嫌いばっかりしないの、嫌いなものもちゃんと食べ…あっ!いつの間に俺のお皿に玉ねぎとピーマン移したの
っ!」


とか、散々「そんなことばかりしてると体を壊すよ」と私に言っていた夫の人の看病をしつつ


「いいよ、いいよ、私は元気なんだから看病するのは当然だよ、ウフフ」


と微笑みつつ、その瞳の奥にはチリ人のように、『ほれ、健康健康小うるさいのに限って未体験の環境には適応できないんだよ〜ん、あっはっは!』と、高らかな笑いが渦巻いているのは言うまでもありません。



チョコ報告とチリの犬。

またしても近所に住む友達が我が家に住み込んでチョコの面倒を見てくれているのですが、私の事など忘れたかのように元気にやっているそうです。
私は毎日、寂しがってないかなあ、あと何日で会えるなあ、と指折り数えているというのになんじゃそりゃと、彼のメールが来るたびに複雑な心境です。



ちなみにチリでは犬がそこらじゅうに放し飼いになっていて、町のあちこちでのんびり寝たり遊んだりしています。
ここの人達は優しくて大らかな人柄ですが、それにしたって忙しそうなサラリーマンが狭い通り道で寝ている犬を一生懸命よけてあげていたり、けっこうなスピードでブイブイいわせているスケートボードに乗ったお兄ちゃんまでもが通り道にいる犬のために急停止し、よけている姿には驚きました。
わりと多くの人が野良状態の犬と目が合うと撫でたり声をかけたりと可愛がっていて、犬にとっては天国みたいなところです(誰もいじめたりしないので犬も暢気に街中で寝ているのでしょうけど)
そのかわりといってはなんですが、こちらでは猫は一度しか見かけていません。
毎日街を散歩をしていてこれだけ猫を見ないというのは初めてで、これだけ犬天国だと猫は肩身が狭いだろうなあと日々思いながら歩いています。