犬日記

役に立つことは書かれていない日記

チョコは柴犬(その2)

反りチョコ

自分が特別な犬を飼っているつもりがなかったことは前回の日記で長々と書き綴りましたがそれは見た目に限った話で、カナダに来る以前からチョコの性格は柴犬にしてはちょっと珍しいという認識は持っていました。
というのも今までお世話になった5つの動物病院全ての担当医さんから


「この子は・・・柴犬?」


と言われてきたからです。
「はい、柴です」と答えてもみな「おかしいなあ、そんなはずは・・・」みたいな表情、中には「本当に?」と、失礼を承知で聞くけど納得いかん!みたいな感じで念を押すように質問されたこともありました。
なぜ疑われたか飼い始めた1,2年の頃はよくわからなかったのですが、何度か動物病院へ通ううち、仲良くなった先生から事情を聴く事が出来ました。
それは『柴は主人には忠実で普段はとても大人しい犬ではあるけれど、その反面主人以外の人間には警戒心が強く、神経質なところもあるので治療する時は細心の注意が必要』ということで、つまるところそれは機嫌を損ねたり恐怖を感じさせてしまうと威嚇ごときでは済まないということ意味するわけで、その先生も治療中に何度もぱくりとやられたそうです。
しかも柴の忍耐強い性格が裏目に出るのか他の犬種と違いぎりぎりまで我慢してくるので威嚇行為がほとんどなく、いざ注射を打とうと手を伸ばした瞬間いきなり『ぱっくんちょ』とやられるとのことでした(多分、場合によっては『がぶりんちょ』ぐらいの威力もあったでしょうけど)
さらに飼い主さんの方も「まさかうちの大人しい犬が〜」と考えている場合が多いようで、痛みを伴う治療中の補填等をそういった飼い主さんにお願いするのも大変危険だとか。
決して悪気はないのでしょうが、普段が大人しい故、油断してしまっていて真剣にがっちりと補填しきれていない事が多く、そのためチクッとやった瞬間、張り詰めていた緊張の糸が切れてしまい我を忘れて大暴れ甘いガードをすり抜けぱくり・・・または普段見せない飼い犬の姿に驚いて思わず手を放してしまった飼い主さんもいるとかで、結局ぱっくんちょされてしまうとのことでした。
私も長く一緒に暮らしているので知っていますが、柴は元々猟犬でもあったため小型の割にでかい牙に強い顎、おまけに結構な身体パフォーマンスと体力が備わっているので、かなり興奮しきったチョコとの遊びの最中に何度か身の危険を感じた事があったぐらいです。
ですから動物病院の先生ともなるとどんな恐怖体験を、しかも何度経験した事やら。
「でも柴は可愛いからやっぱり好きなんですよね、実は僕も飼ってるんですよ」なんてニコニコしながら噛まれた時の話をする先生の話に耳を傾けながら、やっぱり大変な職業なんだなあと改めて考えさせられたものでした。


そんなわけで、注射を打たれようが、肉球を広げるだけ広げた上爪をチョッキンチョッキンされようが、お尻の穴に指や体温計を突っ込まれようが、耳の中に液体を入れられグリグリグリグリかきまわされようが、大きく口を開かされて歯をグイグイいじりまわされようが、エリマキチョコ!と言いながら顔の皮をびろーんと引っ張られようが(これをやるのは私だけですが)首にハンドル型コントローラーを当てられマリオカートごっこを強要されようが(これも私しかしませんが)鳴き声ひとつたてず、ただ静かに耐えているチョコの姿に、最初は



「今は大人しいけどそのうち威嚇かぱっくんちょが来るぞ」



と警戒していた先生たちも、時間の経過とともに



「・・・あれ?なんかすごく大人しいんだけど」



となって、さらには



「こんなの柴じゃない!」



みたいな(いやそんな不躾な言われ方をしたことはないですが)感じになるのでしょうか。
最後には「この子はどこで購入されたんですか?」とか「おかしいなあ柴は97%噛みついて来るんだけどなあ」とかいう先生まで。
みなさん大変なご苦労をなさっているようで・・・お疲れ様です。



当然チョコはそんな自分の性質を特別な事だなんて思うはずもなく、おばあちゃんになった今もふがふがいいながらのんびり寝たり、人におもちゃをぶつけてきては遊びなさいよ!と要求して来たり、そろそろご飯の時間なんだけどと膝に顎を置いてきたり、その割には「チョコおいでよ〜、なでなでしてあげるよ〜」だなんて優しい口調で呼びかけても「今そういう気分じゃないの」とでもいう風に片目でチラッとこっちを見やっては聞こえないふりをしてシカトするような毎日です。



(・・・・・・もしかしてチョコが柴っぽくないのは、ただ単に主人に忠実じゃないからなんじゃないの)



等という疑問が頭に浮かばないわけでもないですが、お互いのためあまり深く考えない方がよいだろうと思いつつ今日に至ります。



チョコ写真。


1年前のチョコ。
1年前もおばあちゃんでしたが、体の柔軟性はこの通り。
よくまあ寝違えたりしないもんだなと感心します。