犬日記

役に立つことは書かれていない日記

思えば遠くへ来たもんだ

チョコとミニ怪獣

日本から日本への引っ越しは11回経験したので慣れていましたが、外国に引っ越すのは生まれて初めての事なので(しかも1歳児付き)確実に大変なんだろうなあと覚悟はしていたつもりでした。
が、想像以上に想像を超えて大変でして、例えるなら弾の残数が制限されている上タイムリミットが設定されていて、さらにゾンビ増し増し当り判定セマセマみたいな無理ゲーぶり、ゲームならコントローラーを叩き割っているところですが、ゲームじゃないのでひたすら作業を進めるしかありません。
初めての育児に振り回されっぱなしの日常に引っ越し作業が降ってわいたのですから、しんどいのは当たり前、その上前日になってもほとんど引越し作業をしていなかった事と、業者に梱包を全部お任せする引越しが思ったより全然お任せじゃなかった事と、重量的にも法的にも持っていけない物が想定よりかなり多かった事と、一気に片をつけようと引越し作業の翌日に出発した事とかが相まって、上へ下へななめ横への大騒ぎ。
終わるかなあを連呼しながら困り果てる夫の人に



「あっ、いいこと思いついたよ!行くのやめるってどうかな?」



と何度提案したことやら(そして何度怒られた事やら)



手荷物の詰め込み、粗大ごみの整理、普通ゴミの整理、チョコのペットホテルの確保+引き取り、娘の面倒+昼寝のため前日からホテルの確保+作業を中断してホテルへ移動、ガス電気水道を止める処理、マンションの鍵の引き渡し、その他諸々の作業を二日間でやりきったわけですから、それはそれは大変でした。

中でも一番大変だったのが荷物の送付で、当座使う物のセレクトに加え、船便、航空便ともにとにかく禁止事項やルールがとても多いのです。
船便に関しては食品は全滅、アルコール類もダメ、スプレー缶類ダメ、畳ダメ、化粧品類も量が多いとダメと、書き出し始めたら枚挙にいとまがありません。
でもアルコールやスプレー缶なんて常識でしょ〜ちょっと考えたらわかるでしょ〜?ぷぷっ!と鼻で笑ったそこのあなた、それぐらい私だってさすがにわかります、ポイントはそこじゃなくて意外なものにそれらの成分が含まれていたり、区分されていたりする事なのです、ムキー!
アルコールについてはまず除菌系のグッズは幾つか引っかかりますし、我が家で愛用している液体歯磨き、それから虫よけや虫さされの薬などもひっかかりましたし、化粧品などは買い置きしていた分をどうしたらいいのやらみたいな感じで、意外なものが意外な形で引っかかるのです。
そして食品に関しては、船便が使えない以上、航空便(というか自分たちの手荷物として)持っていくしかなかったのですが、大人は黙ってステーキ焼いてポテトでも付け合わせて食っとけ!ということでさておき、1番好きな食べ物が納豆、その次は焼き芋、次点で豆腐ハンバーグとおひたしと炊き込みご飯!味噌汁はいりこ出汁で具はオクラがいいわ!という1歳児らしからぬ渋好みの娘の分は、カナダで手に入りそうにない、且つ、手作りもできそうにない離乳食用食品を大量に運ばねばならなかったため、これにもかなり四苦八苦しました。
結局、私たちが長期留守中にいつも泊まり込みでチョコの面倒を見てくれていた友達にお願いして、引越しの手伝い兼チョコの面倒をみてもらう兼観光という事でカナダまで着いてきてもらい、娘の席も一人分にして4席分の航空券代を支払い、計126kgまでOKな貨物量を確保し持っていけるだけ持って行ったのですが、これが本当に大変でして、大きいスーツケース4つに小さいの3つ、その上段ボール箱(大)3箱、さらに大型犬用ケージに納まっているチョコ、とどめは荒ぶるミニ怪獣。
これらの荷物(と生き物)を大人3人でなだめながら運んで移動ですから、トロント空港に着いた時は死んだ魚の目になっていましたし、新居まで移動の車中では出たり入ったりしていたエクトプラズムが、到着した頃にはすっかり鼻から抜けきってました。



精神的にも肉体的にも限界を超えて疲れ果てたのですが、それがどのくらいかといっても筆舌に尽くしがたく、人生であんなに疲れ果てたのは、親に内緒で1年前期の時点で大学を留年してしまった事がばれてヨシコが鬼モードで来襲した時と、気がついたら季節が3つぐらい過ぎていて久々にコンビニまで歩いたら筋肉痛になったほどゲーム三昧だった時と、納期が間に合わなさそうで1週間会社に缶詰でデバッガをやらされた時ぐらいだなあ・・・って結構あるがな!(どれも二度と体験したくはないですが)


それはさておき、こうやって日記を書くために3か月前の移動を思い出すだけでもどっと疲れるわけで、2度とあんな目に合いたくない!というか2度とやらん!と心に固く誓った私は、夫の人に



「もうあれと同じ事やるのは絶対に嫌だからね、チョコが天国に行ってミニ怪獣がサルからヒトに進化するまで、クビにでもなったら死あるのみ!」



と強く言って聞かせてあります。
そんなわけで腰据えて生活すべく、私の英語力も「アイアムナンシー」から「アイプレイテニス」にまでは上達しました。
2016年までにはマンションのエレベーターで乗り合わせた時の緊張が少しでも緩和するといいなあと思います。



チョコ写真。


ミニ怪獣と戯れるチョコ。
近頃はお互いにいい退屈しのぎになると思っているようで、よく一緒に遊んでいます。
しかしまだまだ知能はチョコの方が上のようで、おもちゃをただただ無鉄砲に引っ張る娘がすっ転ばぬよう、チョコは力を加減しながら引っ張ります。
犬って本当に空気読むよなあと感心させられる時です。
夫の人もチョコの爪の垢を煎じて飲むといいと思います。