犬日記

役に立つことは書かれていない日記

だんだん見聞録みたいになってきましたが犬日記です

夫の人に「休日はどこに観光に行きたい?」と尋ねられると


「ベーグルか肉」


と返答する私は、観光にあまり興味がないためか名所を訪れるといったこともせず、出張中の膨大な一人の時間を何に費やしているかと言うと、あてもなくひたすら街を歩くか、適当な場所で本を読むか、座って考え事をするかの3つの過ごし方で消費されてます。
自宅にいる時とまったく行動に変化がないので、旅行好きの女子友達からは「最も一緒に旅行したくないタイプ」と言われ、夫の人には「ベーグルも肉も観光地じゃないから」と言われます。
そんなお前はオッサンを通り越してジーさんかっ!てか食う事ばっかりじゃねーか!となじられてばかりのちい散歩派の私ではありますが、新しい土地に行ったらガイドブックやネットで検索してまで立ち寄る場所もあるのです。
枯れた女性ホルモンがみるみるうちに復活して最もアグレッシブになれる場所、それはスーパーマーケットで、どこの国のどこの街に行っても必ず立ち寄ります。
これほどまでに地元民の生活をこんな簡単に、それもよそ者が遠慮なく見られる場所と言うのもそうそう無く、いつも私に新鮮な驚きを提供してくれて期待を裏切りません。
しかも入るだけならタダだし、ドレスコードもないし、誰でも入れるし、誰も話しかけてこないし(←ここが最も重要)という特典付。その上現地色の濃い個性的なお土産物まで手に入るチャンスがもれなく付いてきます。
個人的にはなるべく田舎の、それもひなびたスーパーがお勧めですが、街中の大きなスーパーだと品物がしゃれている上に豊富ですし、日本国内で輸入販売されているものなんかもチラホラ見るので、日本との価格差を計算して関税がいかほどかかっているかを知るのも面白いです。


それから買い物をしている人たちを見ていても面白い事があります。
昨日はニューヨークのスーパーにて、日本食の食材コーナーを「さすがアメリカ、寿司食材がこんなに豊富に」と感心して見ていたのですが、そこへ8頭身はあろうかという金髪美女のニューヨーカーが買い物籠を引っさげて私の隣に立ち、一生懸命商品を物色し始めたのです。
なにやら黒っぽい食材を次々手に取っては説明書きに目を通し、これも違うあれも違うと言った様相。
結局その美女はひとつの商品を4個ほどバサバサと籠に入れて颯爽とレジへ消えていったのですが、何をそんなに熱心に探していたのだろうと気になってその陳列棚を見てみると、そこには4つのよく似た黒い食材が並んでいて、それぞれ『KOMBU』『WAKAME』『HIZIKI』『ARAME』と書かれているのです。
海藻類は英語圏民族の間ではseaweedといって誰も食べないって美味しんぼで山岡さんがいってたのに、食べてるじゃん!と軽くカルチャーショックを受けたのはさておき、昆布とワカメ、それからヒジキまでは日本人でもみんな知っているメジャーな食材だからアメリカで売られているのも理解できるとして、アラメって日本人でも知ってる人そんなにいないというか、そもそも全国区の食べ物じゃないと私は思っていたのですが、なんでこんなところで売られているのだろうととても不思議に思いました。
しかもアラメは3種の商品があったのに対し、昆布・ワカメ・ヒジキは1種類のみ、ちなみに美女の選んだ商品もアラメでした。
海外旅行好きの友人たちが、しばしば鎖国主義の私に「海外に出てみて初めてわかる事がある」と諭そうとしていましたが、ようやくその意味が少しは理解できたような気がします。


そんな私の旅具合ですが、工夫さえすればプルプルしなくてすむ場所を見ることが出来るので、異国の地をそれなりに楽しんでいます。
ただどんなに怖くともベーグルとパンケーキと本場のマクドナルドだけは食い逃すわけにいかないので、帰国するまでにプルプル震えながらでも食べに行こうと、ガイドブック片手に必死でオーダー方法を覚えているところです。