犬日記

役に立つことは書かれていない日記

散歩も読書も妄想も飽きた時は

たいてい地元のテレビを観賞して過ごしています。
中でも料理番組は言葉が全くわからない私でも何をしているのかが一目瞭然なのでよく見ています。
アメリカでは1日中料理番組ばかり放送しているフードチャンネルというものがあって、簡単料理から手の込んだ料理まで、色んな国の色んな料理を色んな料理研究家の人たちがやっています。
お陰で1日中見ていても飽きません。
日本の料理番組とはもちろん違うところが多く、どの番組を見ても驚きとカルチャーショックの連続ですが、最初にびっくりしたのが食材を包丁で切る時に猫の手にしない事。
日本ではまいんちゃんだって「包丁を使う時は猫の手でね!」って言ってるぐらいなのに…と思いながら鑑賞しているのですが、軽妙な包丁捌きを見る度に、いつかザックリいきやしないかと毎回冷や冷やしながら鑑賞しています。
それから調味料などを投下する時は入れ物から直接ダイブさせるのにもおったまげます。
日本の料理番組だと、他人事ながら後の洗い物が大変だなあと心配になってしまうほど小さな器に調味料類をいちいちひとつずつ入れて用意しますが、さすが大国USAは違います。
缶詰のチョコレートをバサー、瓶詰めのマヨネーズをドサー、卵も別の器に割りいれたりせずコンコン、ジャボッ!と直接ダーイブ!みたいな感じで鍋やボールにどんどん放り込みます。
軽量スプーンだのカップだのはほとんど使用される事はありません(でも何故かキッチンにはちゃんと常備されている)
そしてさらに驚きなのが、ひとつ調味料を入れてかき回すたびに「なんちゃらスメル」だの「ummmmmmm、グッドなんちゃら」だの言って自分の料理を褒め称える事。
私がカウントしたところ30分番組(3つの料理を作成)で、50回は軽く自画自賛してました。
あれぐらい自信満々にニコニコしながら「美味しいのよ〜、美味しいに決まってるのよ〜、ほーら美味しそうでしょう?どう?どう!」と迫られると、なんだか今日の夕飯は昨日の残りの肉と豆腐と水菜をどうしようか、肉豆腐にするか、それとも野菜を買い足して野菜炒めにしようか、それだと水菜も豆腐もあぶれるなあ、だいたいお米炊いてないからウドンとかにしたいんだよねえ…、なんて事で悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなってくるほどです。
美味しければいいのYO! you!食べたいものを作っちゃいなYO!といったオーラが画面から出まくりです。
仕上げは出来上がったばかりの料理をキッチンで立ち食いし、半分叫びだしそうな口調で「やみー!ぐー!」などとほめ祭りをして終了という、日本では考えられないスタイルにすっかり夢中です。

分量のレシピをテロップでやってくれないのでひたすら番組を見ながらメモるしかないとか、パスタを茹で上げてからソースや付け合せを作り始める姿にアルデンテはどうしたと思ったりとか、コーンにスパイスと調味料を混ぜただけの料理をそんな自信満々に披露してよいものかとか、突っ込みどころは多々ありますが、日本にはないポジティブ加減が見ていて楽しいので、こういう感じの料理番組が日本にもあったら良いのになあと思います。



ちなみに日本でも最近「毎日がイタリアン」というタイトルで、アメリカでも人気の料理番組をNHKが吹き替えで放送しています。
私はいつも録画してまで見ていたのですが、何の疑いもなくイタリアンなんだからイタリアの料理番組なんだな、イタリア人は料理番組も陽気だなあと思っていました。
アメリカに来て番組が放送されているのを見つけた時も「アメリカでも毎日がイタリアンやってるんだ、人気なんだなあ」と思っていたら、なんとジャーダ(毎日がイタリアン料理研究家)が英語を話しているではないですか。
あんなにイタリアン万歳なことばっかり言うからてっきりイタリア人だと思っていたのに、まさかアメリカンだとは。
これからはジャーダを見る目が微妙に変化してしまいそうです。